かつて「ネオヒルズ族」「秒速で1億円稼ぐ男」などと世間からもてはやされたものの、2014年に法人税滞納で会社を解散させた与沢翼氏。文字どおり無一文になり、与沢氏は日本を去って公の場から姿を消した。まさに天国から地獄への転落で、おそらく世の中の誰もが「与沢翼はもう終わった」と確信したことだろう。
あれから約5年――。“秒速の男”が地獄の底からカムバックし、5年ぶりとなる著書『ブチ抜く力』を発売し、話題を振りまいている。与沢氏がツイートすると、瞬く間に「アマゾン総合ランキング1位」を獲得。発売前に重版が決定し、さらに3月2日の発売から2日でたちまち3刷、現在4刷まで決まっている状況だ。完売店が続出し、“売れている本なのに売れていない”という逆行現象が起きている。
この5年間の与沢氏の変化で最も驚くのは、その体型だろう。ポッチャリ体型だった与沢氏が見違えるほどスリムに、しかも筋肉質になっているのだ。与沢氏本人に直撃した。
「もともと体重は91.2kgあったのですが、2018年6月から減量することを決意し、約2か月で69kgまで、22kg以上の減量をしました。体脂肪率は21%を切る程度にまでなっています。減量の経過を日々ツイートしていたところ、『短期間での急激なダイエットは健康によくない』『非常に危険だ』など、たくさん言われました。
でも今、脂肪に包まれて生きているこの肥満の状態のほうが、明らかに不健康ですよね(笑)。健康は、痩せてからどうにでも確保できるはず。逃げる言い訳を用意せず、何かを犠牲にしてでもまず痩せると誓いました」
その覚悟の減量の結果が、今の体型だ。続いて、大きな成果がビジネス・投資での成功だ。2018年までの実績でいうと、月収は1億円、個人純資産は70億円を超える。
「今はドバイのブルジュ・ハリファ、バンコクのリッツカールトン・レジデンスなどを拠点に暮らし、個人純資産は72.5億円。世界各地に計40戸、キャッシュで購入した総額約45億円分の不動産を持ち、残りの約27.5億円は定期預金を含む金融商品です」
2017年夏~2018年年初には、仮想通貨「リップル」に1億3500万円を投じ、含み益は最大27億円となり、14億円の利益を確定。個人投資家から大きな注目を集めたことは記憶に新しい。さらに、株でもSBIホールディングスやリミックスポイント、エボラブルアジア、セレス、ジゲン、フリークアウトなどで1億円を5億円にした。これらの銘柄は今後も有望で、引き続きウオッチしているという。2018年5月、ダイエットに専念するため投資から一度身を引くことを決意し、一括利益確定し月次で1億2000万円の利益確定するなどツイッター上でも話題をまいた。
かなりリスクを取った投資をしているかと思いきや、「昨年は身を固める1年でした。たまたまダイエット開始のためポジションを軽くしていた時期からちょうど日本株全体の地合いが悪化したので、ただのラッキーでもあった」と話す。
「仮想通貨を利益確定した後は、私が死ぬか退職後に解約すると32億円の現金が一括で入る保険に加入し、保険料5.2億円を一括で払いました。当初8億円の払い込みを予定していましたが、バランスを考え金額を減らしました。ただ、これで私が死んでも家族が路頭に迷うことはないし、老後の資金も確保できた。ようやく安心して攻める土台ができたところです。また、海外の社債を5.5億円分購入しており、年間3000万円ほどの現金配当が得られています。また、不動産賃貸収入が立ち上がり始めています」
大富豪とは思えない堅実な投資。いや、大富豪だからこそ、まずは堅実な投資で身を固めたということだろうか。しかし、反省点もあったという。
「海外不動産の比率が大きくなってしまったことです。実は、竣工予定日どおりに完成した物件は一つもありません。私は現金一括で買っているので、完成しない限り、資金は拘束されて運用もできない。今後は完成物件を貸し出したり売却して、家賃収入、売却金額ともに証券などのペーパーアセットに換えていこうと思います」