イラン人女優タラネ・アリシュスティさん(33)が主演を務める最新作で監督を務めたイランの名匠アスガル・ファルハーディー監督。
なんとイラン国内では10人に1人が観たというこの大ヒット映画『セールスマン』(英題:THE SALESMAN)は「第69回カンヌ国際映画祭」にて脚本賞と主演男優賞をW受賞し、アカデミー賞外国語映画賞の最有力候補作とされていました。
しかし先日、トランプ大統領の"イスラム教徒の移民に対する入国制限"に反発し、アカデミー賞をボイコットする事をツイッターで宣言した主演のタラネ・アリシュスティさん(33)。
彼女を抜きでアカデミー賞に参加する予定だった監督のアスガル・ファルハーディー氏もアメリカに入国出来ずに、アカデミー賞を欠席する事になりそう。
そんな悲劇の名匠アスガル・ファルハーディー氏を調べてみました。
アスガル・ファルハーディーって誰?
画像元:Asghar Farhadi
名前:アスガル・ファルハーディー Asghar Farhadi
生年月日:1972年5月7日生まれ
出生地:イランのイスファハン子供時代から、ドラマや映画、物語を書くことに興味を持ち、スーパー8や16mmで映画を撮るようになる。
1998年にテヘラン大学の芸術学部監督科修士課程を卒業。
大学在学中にいくつもの学生演劇の台本を書き、自ら演出した。また、国営ラジオ放送の台本を書き、テレビのシリーズ・ドラマの演出も手がけた。
2002年にエブラヒム・ハタミキア監督の『フライト・パニック〜ペルシア湾上空強行脱出〜』の共同脚本家として、映画界でのキャリアをスタートさせる。同作品は、前年に起こったハイジャック事件を映画化したもので、批評家からも高い評価を受け、大ヒットした。
2003年には、“Dancing in the Dust(砂漠で踊る)”で長編監督デビュー。初監督作品ながら、モスクワ国際映画祭のコンペティション部門に選出され、男優賞を受賞。
その後、2004年に“The Beautiful City(美しい街)”、2006年に“Fireworks Wednesday(水曜日の花火)”(2006)を発表。
第4長編となる『彼女が消えた浜辺』(2009)では、第59回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)を受賞し、イランでは年間興行成績第2位となるヒット作となった。
第5長編となる『別離』は、第61回ベルリン国際映画祭に出品され、金熊賞(最高賞)と銀熊賞(男優賞・女優賞)の3冠に輝いたほか、イラン国内では大ヒットを記録した。
ファルハディは、脚本からキャリアをスタートさせていて、本作でもいくつもの脚本賞を受賞するなど、脚本家としての才能は特に高く評価されている。
また、監督としての技量も、デビュー作から既に内外の映画祭・映画賞で高い評価を受けてきているが、単に批評家の評判がよいだけではなく、イラン国内でのセールスもずば抜けていて、現在のイラン映画界の一翼を担うフィルムメーカーとなっている。
情報元:マジックアワー
過去にもアカデミー賞を受賞している
最新作『セールスマン』(英題:THE SALESMAN)
はアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされていますが、実は過去にもアカデミー賞にノミネートされ既に受賞経験もあります。
過去のノミネート作品は以下3つ↓
The Past(邦題:ある過去の行方)
画像元:IMDb
About Elly(邦題:彼女が消えた浜辺)
画像元:IMDb
Beautiful City(邦題:美しい都市)
画像元:IMDb
の3作品が過去にノミネートされており、2012年にはアカデミー最優秀脚本賞とアカデミー脚色賞を受賞しています。
これだけの功績を残している大監督さんなんですね。
イラン映画界のイチロー
画像元:Asghar Farhadi
実はイラン人監督が二度もアカデミーにノミネートされたのは彼が最初、まさにイラン映画界のイチローといった感じでしょうか?
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知性的である
天才フィルムメーカーと称される彼ですが、大学では演劇の学位と舞台監督の学士修士を取得しており、感覚一辺倒ではなく、実はかなりアカデミックな基礎力が彼の映画作りの下地となっているのがわかりますね。
そんな偉大な監督がなぜ入国できないのか?
先日、米アカデミー賞をボイコット。女優"タラネ・アリシュスティ"て誰?可愛すぎてびっくり。 でお伝えしたように、
タラネ・アリシュスティさんが抗議していたドナルド・トランプ大統領の"イスラム教徒の移民に対する入国制限"が本格的に始動。
今分かっているだけですでに複数人のイラク難民が入国拒否をされています。
イラク難民、相次ぎ米入国拒否…大統領令影響か
【ニューヨーク=吉池亮】米国居住が認められたイラク難民が27日、ニューヨークの空港で相次いで入国を拒否されていたことがわかった。
同日の大統領令で入国審査が厳格化された影響とみられ、米メディアによると、米入管当局はイラクやイラン、シリアなどテロに関連する7か国からの渡航者について無条件に入国を制限しているという。
支援団体は28日、ジョン・F・ケネディ国際空港で足止めされたイラク難民2人について連邦地裁に人身保護請求を申し立てた。うち1人はその後、入国が認められたが、10人以上の難民が同空港で拘束されているという。
ロイター通信によると、カイロ発ニューヨーク行きのエジプト航空機が、イラク人、イエメン人の計6人の乗客の搭乗を認めず、出発地に差し戻す措置を取るなど航空会社も対応を余儀なくされている。出典:Yahooニュース
なんと既に米国居住が認められたイラク難民にも入国拒否をしている事が発覚、居住許可も持たないイラク人のアスガー・ファルハディ氏の入国がいかに絶望的なのかわかりますね。
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現在ドナルド・トランプ大統領が考えている、移民政策の一部
ドナルド・トランプ大統領が考えている、移民政策の一部がこちら↓
・シリアからの難民受け入れを無期限に停止する。
・すべての国々からの難民受け入れを、120日間停止する。この期間の後は、アメリカは国土安全保障省、国務省、国家情報長官が共同で承認した国からの難民だけを受け入れる。
・2017年度に受け入れる難民の総数の上限は5万人。これは、オバマ政権が提案した11万人の半分に満たない。
・2016年度の包括予算法第203条 第II編 項目O に指定されている国から来る個人で、すべての「移民」または「非移民」の入国を30日間禁止する。
(この条項で指定されているのは、イラク、シリア、イラン、スーダン、リビア、ソマリア、イエメン。この国々は2016年、ビザ免除プログラムの二国間相互協定と、近年アメリカを訪れた旅行者に対するビザ免除規定で制限対象になった。)・「特に懸念される」国へのビザ発行を見合わせる。60日後、国土安全保障省、国務省、国家情報長官は、情報提供の要請に従わない国のリストを作成する。それらの国々から来る外国人は、アメリカ入国が禁止される。
・「攻撃を受けているシリア住民たちを保護するための安全地帯」を確立する。大統領令では、国防長官に対し、90日以内にシリア国内に安全地帯を設置する計画案を提出するよう指示する。
(これにより、アメリカのシリア介入が拡大する可能性がある。また、これは、トランプ大統領がシリア紛争にどのような関与をするのかを示す、初めての公式な指示となる。)
・アメリカへの訪問者全員を対象にした、生体認証による出入国追跡システムの完成を進める。そして、非移民ビザを申請する個人全員に対面での面接を要求する。
・ビザ面接免除プログラムを無期限で中断する。そして、締結国との互恵協定となっている従来のビザ免除合意が、本当に互恵的になっているかどうか再検討する。
出典:トランプ氏の「イスラム教徒のアメリカ入国制限」大統領令草案を独占入手
とかなり厳しい内容ですね。
こういった動きはますますイスラム教徒の反米感情を煽る事になり、ISなどのテロ組織強化に繋がると懸念されています。
正当な理由も提示されず『無条件に入国拒否』されては人種差別を受けたと思われても仕方がないですよね。
今回の理不尽な入国規制でアカデミー賞に参加できない彼に対し、映画業会の人々は
『心を痛めるニュースだ、到底受け入れがたい』
と彼のサポート呼びかける声が多数上がっています。
この声がトランプ大統領に届き、彼入国を認める"奇跡"は起こるのでしょうか?
今後もこのニュースから目が離せません。
追記:現在アメリカ国内ではこれに反対する大規模なデモが行われています。
#MuslimBan protest at SFO: pic.twitter.com/o578k1dpOd
— Sarah Fathallah (@SFath) 2017年1月28日
#PressPlay people chant "Let Them In" as the #DonaldTrump #MuslimBan keeps people, including those with visas and green cards from coming home. #JFK
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